たまごと将来


仕事の束縛から離れ、淫らな誘いを退け、
街中の人混みを潜り抜けて、
君は、ひとときの安らぎを求め、家路を急ぐ

僕とも軽い挨拶に、微かな笑顔を見せただけで
立ち止まらずに去っていく

まるで人形のように振る舞うようになった
君を、心配しながら僕は見送った、

誰もいない暗い部屋に帰って
冷めた出来合いの食事を摂った後、
癒されない体で、悩みを抱えたまま
眠ってしまうより、
僕の家に来て、二人で話そう

君が食べたい物を作って待っているよ

君の好きなオムレツ、僕の好きなカレー、
好みも性格も違い、接点もなく
互いに別々の道を歩く二人、
けれど今夜は、卵を片手に僕たちの将来を、
語り合った

去年まで僕は、両手を使っても
卵をきれいに割れなかったくせに

いま、君が見ているまえで、簡単そうに
片手で卵を割っている。

たまごと将来、僕は何になれる
くじけずにチャレンジの心でぶつかれば、
ほら、ぱかっと卵が割れるように
簡単に出来たよ

たまごと将来、君は何になれる
じゃがいも、たまねぎ、人参、お肉、大きさ同じく、
姿勢正しく、揃えてみんなで仲良く
温かいお風呂に入ろう、

君の身体(からだ)がお鍋のようにコトコト揺れる
ココロの火加減いいかしら、
ちょっぴり苦くて辛い、人生のペーストも、
時の炎でじっくり煮込めば、ほらっ
美味しいカレーが出来た。

たまごと将来、二人は何になれる、
互いに教え合った料理を、今夜は二人、熱いうちに
けれど臆病で、猫舌な恋心に
ふぅふぅと、息をかけてる互いの顔が楽しくて
思わず笑顔になった。

そして、一晩じゅう語らい止まず
いつしか二人、眠りについた

二人の将来、それは
僕は君の夢、君は僕の夢





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